6月21日 六本木ミッドタウンホールにて、エルメスシアター誌と映像で綴るスペクタル「軽やかさの工房LA FABRIQUE DE LA LÉGÈRETÉ―」を鑑賞してきました。


2022年エルメス が掲げるテーマは「軽やかさ」
「軽やかさの工房」の世界を私的な世界観で物語を紡ぐ、ベルギー出身の映画監督であり演出家のジャコ・ヴァン・ドルマルと振付家のミシェル・アンヌ・ドゥ・メイ
そして、舞台美術を手掛けたのはシルヴィー・オリヴェ。
脚本はトーマス・グンズィグが手掛けた。

「軽やかさ」を見つける旅にオーディエンスを誘う。
タイトルは「ペガサスと6つの軽やかさを探す旅」

物語は次の6つから構成されている。

SCENEⅠ 反転した世界
SCENEⅡ 渡手袋の飛翔
SCENEⅢ サーカス
SCENEⅣ だまし絵
SCENEⅤ四つの鞄のオペラ
SCENEⅥ無重力

この作品は鑑賞するというよりアート体験といった方がいい。
ワンシーンごとに移動をし、次のシーンを体験する。
その移動することにも意味があり、次のステージへと歩みを
進めている時、ワクワク感や期待感を誘う。

制作上興味深いのは、映像作品でありながら、ライブ作品である事。
ライブで演じられたものを、撮影しスクリーンに投影される仕組みである。

そのどれもが、微妙なカメラワークの緊張感、パフォーマーの息遣い、人の手が作り出す暖かな表現。
今、この瞬間にしかないシーンが目の前にくり広げられていると思うと
目の前のシーンを余すことなく、鑑賞したいと思った。

今日、既製品や機械化、AIなどの発展は目まぐるしく
その技術は向上していくばかりだ。

しかし『人間から生まれる有機的な仕事』には何者にも変えがたい
価値があると思う。
人の手によって作られたものは、必ずしも完璧ではなく、欠損した部分もある。
それでも人は、無意識の意識が有機的なものを求めている個人的に考える。

何もかも完璧過ぎる世界なんて、味気のないつまらない日常に違いない。

それは、ナレーションや朗読にも通じることだと感じた。
AIで完璧に読まれた文章は正確ではあるがどこか味気なく、
奇妙だ。
声の中の有機物を感じることができず、なぜか聞いていて疲れる。

軽やかさとは「愛情」
何かを愛おしいと思う気持ちではないのか。
何かを心から愛し、育み大切に想う。
人がその様な気持ちを有する時「軽やかさ」を手に入れるのではないだろうか。

エルメスの職人はバック制作の最初から最後まで一人で行うそうだ。
一人の職人の手作業でバックを完成させる。。。
バックを完成させる間、職人は暖かな愛情を注ぎ愛しむ。
そんなエルメスの哲学に少し触れられた気がした。

末松享子


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